お題、武満徹のノーヴェンバーステップスからの着想で制作した。
尺八と琵琶のかけあいが印象深い。
調和を成そうとする西洋の楽器のオーケストレーションの中で、
極めて異質な、孤高の響きとして、尺八と、琵琶の音が、掛け合いを行っている。
荒野で果たし合いにのぞむ武蔵と小次郎の太刀捌きを連想した。
長く引き伸ばされる尺八と琵琶の音色に、時の流れ、時間の推移を感じたと一方で
尺八の吹き切る音や、琵琶のバチで弦を強く弾く音に、
時間という流れを断ち切り、今ここという瞬間に留めるダイナミズムを感じた。
流れる横軸のイメージと、空間を縦に割くような縦の軸のイメージが鮮烈に交錯した。
秋の京都を散策した。
京都市左京区一乗寺にある詩仙堂は、江戸時代の文人・石川丈山の晩年を過ごした山荘跡で、
【独坐鎮寰宇】という掛け軸がある。
独坐鎮寰宇とは、禅語で「独どく坐ざして寰かん宇うを鎮しずむ」。
寰宇とは世界、天下、天地のことで、
『禅語辞典』には「並ぶ者なき絶対者として世界に君臨する」と出ているようだ。
独坐とは世界を制すること、今ここ、この瞬間に在ること、
すなわち、宇宙と合一した境地をうたっているのではないかと思索した。
2022年11月制作