この作品は、亡き父のドキュメンタリーとして3冊の本にまとめたものである。
実家の書棚にあった錆びた缶の中から、一冊の古いノートが見つかったことをきっかけに、
制作はスタートした。
ノートには戦時中、戦闘機の設計技師だった父の戦争の痛みの記憶が綴られており、
たいへんショックを受けた。
真実を知りたいという衝動に駆られ、父の遺品やアルバムを探し出し、撮影を始めた。
また、縁の深かった土地を訪ね歩くことで、父との対話を深めていった。
この制作を通じて、私が意図したことは「再生」というテーマだ。
誰の目にも留まらなければ、物も記憶も風化の一途を辿るしかない。
そこに今一度目を向け、光を当て、風を通すことで、
過去を未来に繋ぎ、新たな価値や関係性を見いだすこともできるのではないか。
生前、父と私の間に対話のようなものはなかったが、
今となって父はゆっくりと私に語りかけてくれているように感じるのだ。

第一部   父の生い立ち~終戦 翼に夢をのせて
第二部   父の遺品 戦後~父の気配 夢破れても
第三部   父との対話 「キヲク」 時を越えて 




2019年制作(三部作)
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